東京サテライト展において継続的に発表してきたシリーズで、2012年9月の第38回美術の祭典　東京展　において完結しました。 既発表の作品4点と新作3点、計7点によって時系列順となるよう配置し、東京都美術館のギャラリー一室を使ってのインスタレーションとなりました。
順番に見ていくと、過去、現在、未来と続く“絵本”になっています。

宇宙の始原であるビンドゥーが “神” として表され、中世風で重厚な金箔貼りの額縁によって荘厳されています。　下部の装飾文様は、１から１０までを表す 神秘数字で、神の “完全” を表象しています。

ビンドゥーが神の欲望において拡大膨張して大きな円となります。　相変わらず金箔の額縁に覆われていますが、下の方に隙間が出来てきます。

これは従来の私の『片側額シリーズ』の典型で、神的側面と人的側面の調和が見られます。　２次元だった円は３次元となり、楕円で表現されます。

“神の欲望” は “限界” をさらに設定することで膨張、増殖し、それに対して黒い “人間の欲望” も出現します。

“神の欲望” たる “水いろ” は画面からはみ出るほど増殖しました。　それに拮抗するかのように “人間の欲望” も肥大化します。

“神と人間” はとうとう臨界状態を向かえ、暴発します。ここで重要なのは、 “人間の欲望” がついに “神の欲望” を包みこんでしまうことです。　 さらに “神の欲望” は左端の小さな楕円に象徴されるように、分離してゆく予兆として表現されています。　この�Yが現代、現在です。

未来を予見しようと制作した最終バージョン。私の直観で制作されました。　中心は虚空となり、周囲を取り囲む９つの物体は太陽系の惑星を表しています。　 ただ地球の姿はありません。　“地球意識” は拡大飛散して、宇宙に分化して行くのです。　様々な形象は非常に感覚的なもので、 見て下さる方々の “直観” にその解釈は委ねられます。